『経営理念と自社の利益の相関関係はあるのか?(株主資本主義の行方)』

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―米国のトップ企業がそろう経営者団体の
 考え方は正当化されるのか―

―経営理念塾や経営理念塾上級コース開催に思う―



1)
ご無沙汰しています。スケジュール多忙で失礼しております。

今回は既にご承知の方もおられると思います。
ハーバードビジネスレビューに、
お二人の教授が原稿を寄せています。
コロナ問題で忘れられた経営者団体の宣言です。

2)
シカゴ大学の経済学教授であるミルトン・フリードマンは、
「企業の社会的責任は利益を増やすことにある」と、
1970年に「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿した人です。

3)
それ以来、徐々にこの考え方が浸透して、
新自由主義経済の台頭が起きたことは有名です。

株主資本主義や、規制緩和、小さな政府
(国よりも市場に任せる)、弱肉強食的な
競争格差も生まれました。

4)
自由主義はいいとしても、
法律に違反しなければやりたい放題という思想が根底にあり
「拝金主義」的な考えが跋扈(ばっこ)したものです。

5)
企業の目的は利潤追求にあり、
利益の最大化が目的になっていった経過です。
日本でもこの流れは色々な政策にも影響を与えました。

6)
フランスの経済学者である、
トマ・ピケティさんの「21世紀の資本」は、
綿密に格差や租税回避などについて述べていました。
分厚いのには難儀しましたが、非常に共感しました。

7)
月刊『理念と経営』は、こうした「株主資本主義」的な
考えに共感されない方々にご登場頂いています。

株主資本主義では、社長力・管理力・現場力の
三位一体論は成立しないのです。

8)
ペンシルベニア大学の経営学のクローディンさんや、
ハーバード・ビジネススクールのジョージ教授は、
DIAMOND,Incで、経営者団体の「企業のあり方と
事業目的」との整合性に関しても述べています。

9)
株主は、企業をとり巻く「利害関係者」の一人である
という宣言をした団体が、アップルからウォルマートまで、
米国の主要企業トップ181人の声は、
フリードマンの考えに対する強い批判です。

10)
今、NHKの大河ドラマで「渋沢栄一」が取り上げられて
いますが、日本だけではなく、
シリコンバレーに貢献した、HP(ヒューレット・
パッカード)社のように、
かってのアメリカの「ステークホルダー資本主義」
への回帰現象なら嬉しい事ですね。

11)
論文のなかには、資産運用会社のCEOが、
取引先に向けて利益と企業理念の結びつきを訴えています。

「企業の目的は、利益の追求だけでなく、
 利益を達成するための活力になる」

12)
利益はけっして経営理念や事業目的と矛盾しないばかりか、
両者は「切っても切れないほど緊密に結びついている」
という主張です。

13)
5月から経営理念塾が始まり、7月から経営理念塾
上級コースが開始されますが、
一貫して「すべての経営資源」は、
「経営理念の浸透によって最大活用される」
ことを伝えていきます。

14)
渋沢栄一翁は、「論語(理念)と算盤(利益)」
「道徳と経済合一論」を取っています。

とくに、渋沢栄一翁が関わった企業は
多くが永続していることです。

15)
大学のお二人の150万人の働く人の観察結果です。

「事業目的とは働く人が会社に感じる意義と
 インパクトの総体である」にして、
その定量化を試みた結果です。

16)
会社が経営理念や事業目的を強く持っているほど、
働く人々は自分の仕事に意味や意義を強く
見出しているのです。

日創研の会員企業様は、経営理念を重視する方々が
多いですが、業績連動の関係も深いです。

17)
ビジョナリーカンパニーでも同じ考えですが、
ビジョンやミッション、
事業目的がより強い企業ほど、
企業の伸び率や利益率が高い事が証明されています。

18)
興味を引くのは、両教授の見解です。

?事業目的や経営理念と利益との関連性は、
?「経営幹部」とミドル・ロワーに影響を受けます。

19)
経営上層部が、自社の企業目的やミッションや経営理念を、
ミドル層やロワーマネジメントにまで影響を及ぼし、
具体的な達成手法を示し、
「組織全体に戦略的な明確性をもたらせた場合だけである」
という事です。

20)
五大商社の決算発表がありました。
伊藤忠商事が初の純利益でトップに立ちましたが、
ウオーレン・バフェット氏が、
ファミリーマートに投資をしています。

最後に両教授の言が驚きです。
原文のまま記載します。

1.企業が圧倒的に株主中心的な考え方をやめるとき、
 なぜ困難に直面するのかも説明している。
2.そのようなハードルの一つとなるのが、
 投資家や上場企業である事実だ。
3.また、上場企業の目的意識は、
 非上場企業よりも低いことがわかった。


早くコロナウイルス問題が解決して、
こうした考え方を大きな流れに変えていきたいものです。

競争は大事です。
但し、富士フイルムの古森重隆CEOの言われる
「賢明で正しい競争」です。

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プロフィール

  • 日創研グループ 代表 田舞徳太郎
  • 「中小企業の活性化」を事業目的とする日本創造教育研究所グループの代表。
    このブログでは、東奔西走の日々を書きつづります。

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このブログ記事について

このページは、田舞通信が2021年5月12日 17:30に書いたブログ記事です。

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